北京には２つの有名な壁があり、北海公園内の「北海九龍壁」と「紫禁城九龍壁」といいます。北海九龍壁はもっとも古く、非常に美しい伝統的な建築です。遡ること約200年、乾隆21年（西暦1756年）に建てられた北海公園は、旧公邸御苑で、その設計と建設は当時の皇帝の権力を象徴しています。第九の龍は動くことができるという伝説があります。

彩色瑠璃瓦（るりがわら）で作られた九龍壁は、色彩が非常に鮮やかです。龍は皇帝の象徴で、自らを「龍天子」と称し、また、「九」は中国では「最大・永遠」を意味し、最大の陽数であり皇帝の尊さも表します。左から三番目の龍の腹部には木片がはめ込まれています。これは作業中の職人の不注意でこの部分の瑠璃瓦を壊してしまった為、彫刻した木片に色を塗って代用し、今ではその色が剥げ落ちて現在のような形で残っています。皇帝は龍を独占する為に、牙や爪の本数など細かい規定を定め、最高の龍をつくりあげました。また、月・水・雲・岩のパターンがあり、細かい彫刻は、当時の職人の高度な技術を今日に伝える、大変貴重な史跡となっております。