「ロボットは製造業の王冠だ。その応用と製造は1つの国の先端製造をはかる重要な指標になる」。中国工程院の院士で、湖南大学電気・情報工程学院の王耀南院長は中国自動化学会と深セン市科学技術協会が今月11日に共同主催した2020年国家ロボット発展フォーラムでこのように述べた上で、「ロボット技術とロボット産業の発展は、中国の重大な戦略的ニーズになった」との見方を示した。「科技日報」が伝えた。
高度発展期に突入
なぜ各国は競うようにロボットを発展させるのか。王氏は、「その原因は国の民生プロジェクトのニーズにある。ロボットは人が行うさまざまな危険な作業、複雑な任務をサポートし、橋梁の建設・メンテナンス、海洋開発、宇宙探査などの大型プロジェクトにおいて重要な役割を担っている」との見方を示した。
王氏は、「ここ10年ほどの中国のロボット発展は2つの段階に分けられる。最初の5年間は産業発展期で、今は高度発展期に入っている」と述べた。
新型コロナウイルス感染症が発生すると、医療用ロボットがスマートロボットの主要な研究方向の1つになった。王氏は、「将来、ロボットは国の重大プロジェクトのインフラ建設の中で、特に新インフラ整備で重大な役割を果たすだろう。たとえばチョモランマ(エベレスト)の科学研究活動は悪天候の中で行われるが、将来はロボットによるサポートが可能になるだろう」と述べた。
王氏は、「ロボットは自動的に作業を実行し操作できる装置であり、感知機能、計画機能、意思決定機能、制御機能を備え、人では成し遂げるのが難しい作業や繰り返しの多い作業を遂行することができ、乾燥した環境、危険な環境、劣悪な環境でも作業が可能だ」と述べた。
将来は小型ロボットが標準装備になるか
王氏は、「今はみんながスマートフォンを持っているが、将来はみんなが小型ロボットを持つようになるだろう。このニーズに応えるため、ロボットには5つの要素が必要になる。感知、計画、意思決定、運動、学習の機能だ」と述べた。
王氏は、「将来は本物のロボットには感情の交流や人との共同作業ができる機能が備わっている上に、学習や意味分析などの能力も必要で、これがなければ真にスマートサービスロボットになることはできない」とした。
この目標を達成するため、たくさんのことをしなければならない。たとえば、感知力、記憶力、学習能力、意思決定力をロボットシステムに組み込み、ロボットがスマート化された自主ネットワークコントロールシステムを備えるようにすることが必要だ。
王氏は、「スマートロボットの発展では、人工知能(AI)が鍵となる。AIの3大コア技術である感知技術、認知技術、行動コントロール技術は、スマートロボットを発展させる主要技術だ」と述べた。
また王氏は、「AIがどのようにしてロボットと有機的に結びつくかは、次のいくつかの重要な点がある。感知のレベルでは主に言語の識別、物理的な識別に関わる▽認知のレベルでは主に言語の意味の理解、感情の分析、意思決定におけるマルチモーダルインタラクションなどに関わる▽実行のレベルでは主に歩容制御、歩容認証とインタラクションなどに関わる」と指摘した。
王氏は、「未来のロボットの発展は必ずネットワーク化、自主化、協同化、円滑化の方向に向かう。同時に、ロボットは優れた発展プラン、イノベーションの環境、次世代ロボットの標準・技術を必ず必要としている。最も重要なポイントはやはり産業の人材であり、人材チームでは熟練技術者、エンジニア、科学者の融合が必要になる」と述べた。