最近、「#世界のキャビア100グラムのうち12グラムは中国四川省の雅安産#」のニュースが、他地域の人だけでなく、四川省の人々をも驚かせた。
生まれも育ちも四川という人の大半にとって、雅安が今や中国2位のキャビア生産拠点に発展したとは、実に思いがけないことだった。
もともと値段が高いことで有名なキャビアだが、高価格の原因はキャビアを採卵するチョウザメの稀少性にある。チョウザメの中でも、アルビノのチョウザメは成長ペースが非常にゆっくりで、生後20年経つまで卵を産まず、そのキャビアは価格が1キログラム当たり11万3600ドル(1ドルは約150.7円)にもなる。
2000年になると、世界の約30ヶ国・地域でチョウザメの人工繁殖関連技術の取り組みが始まり、人工繁殖によってキャビア産業の抱える野生のチョウザメへの依存問題を解決することが目指された。
四川省雅安市天全県にあるキャビア養殖拠点(写真提供・天全県融媒体センター)
2000年には北京市がシベリアチョウザメの人工繁殖技術で初めてブレークスルーを達成した。06年には浙江省千島湖で中国産キャビアの缶詰第一号が製造された。千島湖の動きとほぼ時を同じくして、遠く2000キロメートル近く離れた四川省もキャビアの大規模養殖のチャンスをつかんだ。四川西部の高原と山間部では、相対的に大きい地形の高低差が、いくつかの異なる温度の層を形成しており、これがチョウザメの養殖により多様な選択肢をもたらすことになった。成都税関のまとめたデータによれば、四川産キャビアの23年の輸出額は8708万3000元(1元は約20.9円)に上り、同省の農産物輸出の新たな有望株となっている。
四川産キャビアが国際市場に勢いよく進出したのと同時に、四川の人々はこの新しい食材を現地の味に取り入れ始めた。
無形文化遺産・四川料理の継承者の陳天福さんは、キャビアと伝統的四川料理が融合したメニューを開発した。キャビアを伝統料理である「糯米樟茶鴨」(楠の木チップと茶葉で燻製しダックにもち米をのせてグリルした料理)と結び付け、ダックの上に小さじ1杯ほどのキャビアを添えて、口に入れた時により濃厚な味わいがするようにした。これまでは輸入キャビアを使っていたが、今ではグルメたちが味わうこの一品は四川産キャビアを100%使うようになった。